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夏休みの読書

「臨床の知」、「神話の知」

 

片山恒夫先生のセミナーに出席して以来、歯周病は科学的にものを考えるだけでは治せないと考えるようになりました.

現在、歯周炎は多因子性疾患であると考えられており、細菌が原因の一つであることは分っていますが、そのほかの原因は良く分かっていません.

したがって『原因はこれであるから、こうすれば治る』という科学的思考に基づいた“特定病因説”による治療には限界があるわけです.

歯周炎に限らず、一般医科でも慢性疾患や精神疾患はどうも“科学の知”だけのアプローチでは“治す”ことができないことが多いようです.

そんなことをしばらく考えていたので、この夏休みは“科学の知”を補完する“臨床の知”や”神話の知”について勉強してみようと、河合隼雄先生の本に没頭していました.

河合隼雄先生の書籍

 

 

「ユング心理学入門」「心理療法序説」の再読からはじめて、「コンプレックス」「無意識の構造」などを精読して、“自我”や“自己”、“コンプレックス”、“影”、“アニマ・アニムス”などの概念を勉強しました.

その後、「書物との対話」や「昔話の深層」、「中空構造日本の深層」を読みましたが、とても興味深く、河合ワールドにどっぷりつかっていました.

河合先生の本に何度も書名の出てくる本があります.

ヘルマン・ヘッセの「デミアン」です.

デミアンはユング心理学を知ったうえで読むとヘッセの魂の遍歴が分かり、さらにユング心理学もなんとなく分かったような気になってしまいます.

ユング心理学の影

デミアンを読んで、何となくわかった気になっていたのですが、改めてユング心理学を自分の頭できちんと整理しようとしてみると、

「影とコンプレックスはどのように違うのだろう」

「影と無意識の関係はどうなっているのだろう」

など判然としないことが噴出してきます.

コンプレックスや無意識などユング心理学の用語に関してはある程度知識を得たのかもしれませんが、その全体像を理解したとはとても言えないようです.

そのことを指摘する一文を「影の現象学」で見つけました.

そこには、

『“影”のみらず“元型”は個人にとってどのように見いだされ、どのように体験されるかが大切なことであり、厳密に定義することができない、知的に議論することは意味がない』

ということが書いてありました.

そして、『“影”は個人に体験されることとしてはまず無意識全体として体験されると言わねばならない』とも.

私の心の中をさぐり、私自身を知るには、まず影を体験し、さらに分化、深化させせていく必要があるということになります.

しかし、その旅は進めば進むほど困難で多くの危険が待ち受けているらしいのですが、そのような深い理解は体験してみなければわからないということになるのでしょう.

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